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静岡県では、世界農業遺産である茶草場農法を維持継承するとともに、その価値を高め茶草場農法の取組を拡大していくために、茶草場農法に係る他の模範となる優れた取組を顕彰しています。

今回は、令和２年度に「静岡の茶草場農法」知事顕彰を授与された方々をご紹介します。

（左から、川勝静岡県知事、土屋鉄郎様、裕子様、鈴木前川根本町長）

生物の保全

当園が位置する尾呂久保地区は、標高600mの山間地に位置し、天空の茶園と呼ばれています。尾呂久保地区では、約20種の鳥類や約35種の植物が確認されており、中には、県のレッドデータブックに指定されている絶滅危惧種も含まれるなど、在来種から絶滅危惧種まで多様な生物が息づいています。

また、当園では、茶園に敷く茶草を刈る時期に配慮しています。刈る時期が早すぎると翌年のススキの生育に影響が出てしまい、遅すぎると茶園に投入した後の効果が落ちてしまうため、時期を見極めて作業を行っています。また、近年では、鹿の食害によりススキが減少し、十分な量の刈草の確保が難しくなっていますが、敷き草に十分な量を確保するために、刈場を増やすようになりました。

お茶づくりのこだわり

茶園面積に対して約50％の茶草場面積を管理しており、平成25年に世界農業遺産「静岡の茶草場農法」の認定実践者となりました。茶園面積は約130aと大きくはありませんが、多くのこだわりをもってお茶を作っています。

茶草の投入は、お茶の特性を十分に引き出すための土作りに繋がります。「自然仕立て」「手摘み」を中心に、高品質な１番茶のみを生産し、お茶の香りや味を引き出すために「川根みる芽伝統蒸し（浅蒸し）」で製造しています。このようなこだわりと、昼夜そして年間の気温差が大きい等の地の利を活かして生産されたお茶は、全国茶品評会において農林水産大臣賞を２度受賞するなど、品質の高さを評価いただいています。

減農薬栽培に努め、消費者の安心安全に繋がるお茶作りを行っています。また、肥料の流亡や雑草の繁茂の抑制、雨の少ない季節には保湿・寒い日には保温するなどの茶草場農法の効果を最大限に活かし、有機質肥料の効果とあわせて、良い土作りに努めています。

当園では、茶草を細かく裁断せずに畝間に敷いています。腐食から分解までのサイクルが長くなり、土壌の保湿や保温、除草など、茶草投入の効果を長く保つための工夫をしています。

自園自製自販による農業経営
静岡県の代表的な品種「やぶきた」だけでなく、「おくひかり」や「はるみどり」などの晩生品種の栽培も行い、自園工場による個性豊かなシングルオリジンのお茶を生産しています。また、通販などを活用して長年愛飲するファンを多く獲得しています。

普及啓発活動
首都圏や県内外で開催されるイベントへ積極的に出展し、販売促進やPR活動を行い、消費者ニーズの把握に努めています。
一般の方に向けた講座で講師を務めることも多く、茶園の見学受入れや呈茶体験を行っています。参加者からは、生物多様性の保全や農業自体を見つめ直す機会となったとの声が寄せられており、認知度向上に資する取組みとなっていると感じています。

「川根茶縁喫茶」
大井川の両岸に広がる茶畑で作られる川根茶の季節ごとに異なる表情を愛でながら、川根本町の６つの茶農家自慢の川根茶を楽しむ喫茶体験を行っています。栽培から収穫、製茶まで、上質なお茶づくりに情熱を注ぐ茶農家の話を聞くことができ、当園はそのうちの１農家として、参加者に茶草場農法についてのお話をしています。

大変栄誉なことと存じます。
当たり前にやって来たことが、世界農業遺産に認定されるほどのことだけでも当初驚きましたが、顕彰までいただき、これまで以上に自信と誇りになりました。受章に恥じぬよう今後も良い茶づくりと周辺環境の多様性保全に努めて参ります。

よいお茶作りを目指していくことは今までと変わりませんが、お茶が作られた背景や、ストーリーを消費者の方に理解してもらえるような販売の仕方や体験型農業、ツーリズム受け入れなども考えていきたいと思います。

 川根茶産地ではお茶を淹れることを方言で「お茶を‛そえる’」といいます。

みなさんの日常に当農園のお茶をぜひ‛添えて’心豊かな時間のお手伝いができることを願っています。

世界農業遺産「静岡の茶草場農法」推進協議会ホームページ
https://www.chagusaba.jp/

つちや農園ホームページ
tsuchiya-nouen.com 

川根茶・つちや農園　Facebookページ　
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