2021年O-CHAパイオニア賞産業技術・商品開発大賞受賞(静岡県農林技術研究所茶業研究センター、カワサキ機工株式会社、静岡製機株式会社)

2021年O-CHAパイオニア賞産業技術・商品開発大賞受賞(静岡県農林技術研究所茶業研究センター、カワサキ機工株式会社、静岡製機株式会社)

2021/11/05学ぶ

公益財団法人世界緑茶協会では、茶に関する学術研究や茶の振興に寄与した産業技術、緑茶のある豊かな生活文化の提案など、優れた成果を顕彰しています。

O-CHAパイオニア賞は、茶に係る優れた学術研究成果「学術研究大賞」、茶の生産や消費に関する優れた技術や商品等の開発「産業技術・商品開発大賞」、茶の文化及び芸術に関する優れた成果「文化・芸術大賞」、茶に関する国際的な貢献や日本茶の普及等に係る優れた成果「O-CHA特別大賞」の4つの大賞と、茶の将来を牽引するような意欲的な取組「CHAllenge賞」からなります。

今回は、2021年にO-CHAパイオニア賞を受賞された方々をご紹介いたします。

煎茶・紅茶・てん茶(抹茶)「近赤外茶成分分析計」の開発と普及

静岡県農林技術研究所茶業研究センター、カワサキ機工株式会社、静岡製機株式会社 ※3共同研究機関

研究開発について詳しく教えてください。

共同研究機関3者で研究開発

「荒茶」の評価や取引は、「官能審査」と呼ばれる「人の五感」による評価で行われています。この官能審査は、長年にわたる豊富な経験に基づいて行われるものです。そのため、客観的な数値化が難しいこと、審査に膨大な時間を要すること、気温等の環境条件によって評価が影響されやすいこと、審査員の体調や個人差による影響があることなどの様々な課題から、品質と関連する成分をより迅速簡便に分析できる機器の開発が求められていました。
※荒茶:ご家庭で飲む「お茶(茶葉、仕上げ茶)」の前段階のもの(仕上げ加工をする前のもの)

そこで、静岡県農林技術研究所茶業研究センター、カワサキ機工株式会社、静岡製機株式会社の3者は実用機の開発に共同で取組み、「近赤外茶成分分析計」の開発に成功しました。

茶業研究センターは主要化学成分の分析、近赤外線の吸光度測定及び成分測定用検量線の作成等を担当、カワサキ機工は国内外の茶サンプルの収集と需要側の要望調査を行い、静岡製機は茶業研究センターとカワサキ機工ともに分析計の開発と品質評価指標を作成しました。

「近赤外茶成分分析計」でできること

分析できる成分は、煎茶ではアミノ酸、カテキン、繊維等を含め9成分と品質評価指標、紅茶ではポリフェノールなどの5成分、てん茶ではクロロフィルなどの8成分と粉状試料の粒度で、これらの成分等をサンプルの前処理を含めて1検体あたり1分以内で同時分析できる機器です。

「近赤外茶成分分析計」は近赤外線800~2,500nmのうち、茶の成分に関係する複数の波長の吸光度を用いた検量線と安価で利便性の高い「近赤外干渉フィルター」を採用しています。近赤外干渉フィルターはタングステンハロゲンランプの光のうち、特定の近赤外線だけを通過させることができます。この近赤外線は茶葉又は粉末茶のサンプルに照射されることで反射・吸収されますが、近赤外線の波長と茶成分の濃度によって吸収(吸光度)が異なります。その吸光度の違いを利用して予め成分を定量分析する演算式(検量線)を求めておくことで、未知サンプルの成分の定量分析ができます。

国内外での活用

茶種ごとに重要となる成分が異なり、測定に使用する波長も違うことから、煎茶・紅茶・てん茶毎に専用の成分計を開発しました。煎茶用成分分析計は開発が早く既に国内外で多くの茶問屋、飲料メーカー、茶工場、研究機関に300台以上が導入されています。
紅茶用成分分析計とてん茶用成分分析計は、近年の国内外の需要拡大と客観的な品質管理の重要性を背景に開発されたものです。
紅茶用はJICAの事業の一環として、スリランカ国の紅茶産業の支援に活用されています。てん茶(抹茶)用は、茶の用途拡大、海外輸出支援に役立つと期待されています。

パイオニア賞を受賞されていかがでしたか。

茶成分分析計は、近赤外光を活用した誰でも簡単に成分を測定できる装置の開発と普及を目的に共同研究機関3者が、それぞれの得意分野を活かし、連携して開発に取り組んできた成果です。
今回の受賞では生産・流通における装置の有用性と活用実績が評価され、開発に関わってきた関係者全員が喜んでいます。ご支援いただいた皆様に感謝します。

今後の展望などを教えてください。

今後も光を活用した技術で、茶の栽培、製造、流通、消費、輸出に貢献できるように努めていきたいと思っています。

お茶に親しむみなさまへ伝えたいことはありますか。

飲んでおいしいお茶の魅力と共に、他の食品にないお茶の優れた機能性や特徴についても成分分析などを通じて、広く知っていただければ嬉しいです。

関連リンク

(公財)世界緑茶協会ホームページ https://www.o-cha.net/ 

静岡県農林技術研究所茶業研究センターホームページ
https://www.pref.shizuoka.jp/sangyou/sa-820 

カワサキ機工株式会社ホームページ
http://www.kawasaki-kiko.co.jp/ 

静岡製機株式会社ホームページ
https://www.shizuoka-seiki.co.jp/ 

JICA様との取り組み~スリランカ国、静岡県内茶業関連先視察~
http://www.kawasaki-kiko.co.jp/news_release/news20180625.html  

JICA「『人』明日へのストーリー」【1月号】「日本茶の品質管理技術を世界へ」
https://www.jica.go.jp/chubu/story/story_123_171222.html 

UNIDOの「サステナブル技術普及プラットホーム(StePP)」に、プロモーションビデオが登録されました。
http://kawasaki-kiko.co.jp/news_release/news20210107.html