【必読!】秋の祭典「パンフレット」公開!
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2013年、国際連合食糧農業機関(FAO)から世界農業遺産に認定された静岡の伝統的農法「静岡の茶草場農法」をご紹介します。
静岡県の掛川市、菊川市、島田市、牧之原市、川根本町の4市1町では、静岡県の特産品であるお茶の栽培を「茶草場農法」と呼ばれる伝統的農法で栽培しています。
「茶草場」とは、茶園に有機物として投入するススキやササなどの草を刈り取るための半自然草地のことです。茶園の周辺にモザイク状に点在しており、4市1町の認定地域内の特徴的な風景といえます。
茶草場には希少種を含む300種以上の動植物が生息しています。
(写真左:カケガワフキバッタ、右:カワラナデシコ)
より高品質なお茶を作りたいという農家の方々の努力により、茶草場農法の技術は今日まで継承されてきました。良質なお茶を生産するための営みが、結果的に多くの生物を守ってきました。
このように、農業と生物多様性が両立していることが世界から評価され、2013年5月に国際連合食糧農業機関(FAO)から、世界農業遺産に認定されました。
毎年秋から冬にかけて、茶園周辺の茶草場の草を刈り、束ねて乾燥させます。束ねて乾燥させている様子は「かっぽし」と呼ばれ、この時期の特徴的な風景です。
翌年の2月頃、乾燥させた草を裁断し※ 、茶園の畝間に敷き詰めます。
※裁断しない地域もあります。
茶草を敷くことによる効果は、茶園土壌の保湿や保温、雑草の抑制、土壌の流出防止などが挙げられます。これらの効果により、茶の樹勢が良くなり、品質が高く安定した茶生産につながっていると考えられています。
また、静岡県茶業研究センターの調査では、土を膨軟にし、水持ちを良くさせる効果や、肥料成分の補填効果に加え、茶草がCO2を吸収し土壌に固定することによる地球温暖化緩和の効果も明らかとなっています。
このように、SDGsが掲げる目標にも貢献している農法と言えます。
2020年6月時点において、22カ国62地域、そのうち日本の11地域が「世界農業遺産」に認定されています。
また、2018年3月には、静岡県わさび栽培地域「静岡水わさびの伝統栽培-発祥の地が伝える人とわさびの歴史-」が世界農業遺産に認定され、静岡県は日本で唯一、世界農業遺産地域を2つ有する都道府県となりました。
「静岡の茶草場農法」を長きにわたり実践され、維持継承に尽力されている方々を顕彰するため、令和2年度に「静岡の茶草場農法」知事顕彰制度を創設しました。
今後、「静岡の茶草場農法」知事顕彰の第1回顕彰対象者の1団体、2名のみなさまの取組について、それぞれご紹介してまいります。
静岡の茶草場農法推進協議会公式ホームページ https://www.chagusaba.jp/